帝王切開後の次の出産方法は2つあります。
一つは再び帝王切開分娩。
もう一つは経膣分娩。
この帝王切開後に経膣分娩することをTOLAC(Trial Of Laber After Cesarean)既往帝王切開後の経膣分娩トライアルと言います。
これに成功するとVBAC(Vaginal Birth After Cesarean section)既往帝王切開後の経膣分娩と言います。
カリフォルニア州のチーコという街に
Enloe Medical Care centerという病院があります。
この病院では2020年にカリフォルニア州保健社会福祉局とCal hospital compareのマタニティ
ケア部門の栄誉賞を受賞しています。
2002年、同病院のある産婦人科医が
ママ達に向けてTOLAC及びVBACのサポートを
重点的に行いたいと行動し始めました。
当時、この案は却下されました。
さらにTOLACのサポートをしないようにとも言われたそうです。
しかし、ここ10年で帝王切開率の減少を目指すことが方針とされ、
TOLAC出産のガイドラインの研究が進み
2019年にようやくVBACを復活させることができたそうです。
州全体では、
2019年のVBACの成功率は50%強でしたが、
Enloeでは同年は71%、
2020年には約76%に跳ね上がりました。
ここまでVBACに力を入れるためには
産科医師も助産師も看護師も関わる全てのスタッフが
一丸となって頑張ってこられたのだと思います。
「TOLACするとなると、
バカンス中のスタッフが帰ってくる」
それぐらいの思いを持って皆さんで取り組まれているそうです。
Enloe の産婦人科医が
「ここでは母親が意思決定をする際、
医療者と母親との間に
(知識・情報などの)壁を作らないようにしている。」
とおっしゃられていました。
VBACには賛否両論あると思います。
私もVBACした身です。
VBACにはリスクがあり、
誰にでも勧められるものではありません。
ただ、それでもTOLACが可能な場合(注意:TOLACできない場合もある)、
選択権はお母さんが持つべきだと思います。
体にメスを入れることを喜ぶ人はいないと思います。
「大切な身体を切られたくない」
それは普通の感情なのではないでしょうか。
お母さん方とお話ししていると、
「帝王切開をしたら次は必ず帝王切開だと思っていました。」
「下から産めるなんて知りませんでした。」
「何の説明もありませんでした。」
という方に出会います。
VBACできるかどうかは分からないけれど、
TOLACをするか/しないかを選ぶ
その権利はお母さんが持っていても良いのではないでしょうか?