出産は何が起きるかわかりません。
順調に進んでいていても、
途中で異常がおきることもしばしば。
これは現代の医学をもってしても、なかなか予測はできません。
経膣分娩で出産する予定だったのに帝王切開になったなんてのも
予想できる人はいないでしょう。
さらには、その過程で子宮を取ることになってしまったという人もいます。
母と子の命が無事なら子宮くらい、、、と思われるでしょうか。
この出産を最後と決めていたならもう子宮はなくたっていいじゃない、、、と思う人もいるでしょうか。
でも、子宮も私達女性の大切な身体の一部です。
できることなら、取らずに残したい、私だったらそう思います。
帝王切開になる理由の一つに前置胎盤というものがあります。
前置胎盤とは日本産科婦人科学会HPによると、
「胎盤が正常より低い位置(膣に近い側)に付着してしまい、
そのために胎盤が子宮の出口(内子宮口)の一部/全部を覆っている状態を「前置胎盤」といいます。
全分娩のおおよそ1%弱を占めています。
通常、経膣分娩(下からのお産)では赤ちゃん→胎盤の順に出てきますが、前置胎盤では、胎盤が赤ちゃんよりも下(膣)側にあります。
胎盤→赤ちゃんの順に下から出てしまうと、胎盤が出る時に大出血してしまい、また、胎盤が出た時点で赤ちゃんは「胎盤からの栄養が途切れ」「自分はまだ子宮内にいるから呼吸もできず」という状態になってしまいます。
したがって、前置胎盤の場合には、ほぼ100%が帝王切開分娩です。」
↓ユニ・チャーム、ムーニーHPから引用画像
このような理由から帝王切開になるのですが、
前置胎盤というと、
出血量が多いことが予想されるので、
輸血用に自分の血液を事前に取っておいたり(自己血採取)、
手術に備えて輸血を準備しておいたり、
という事前準備を行います。
そして、出血量が多いと、
産後は急変の可能性が高いため、
MFICU(母体胎児集中治療室)やICU(集中治療室)で過ごすことになり、
病院によっては母子同室できないこともあります。
また、出血が多ければ、貧血にもなり、
なかなか早期に歩けなかったり、
産後の回復にも影響するでしょう。
場合によっては母の命を守るために子宮を取らざる負えないこともあります。
でも、ある処置を行うことで、
これらのリスクが無くなるとしたら、、、?
- 輸血をしなくてもいい
- 集中治療室に入らなくていい
- 早期に赤ちゃんと過ごすことができる
- 産後の回復が早い
- 子宮を取らなくてもいい
こんなに嬉しいことはありません。
その処置とは、、、
帝王切開術前にカテーテルによる血管内処置を施すということ。
大量出血するであろう部分を血管造影してピンポイントで処置を行うため、
出血量が少なくなります。
その結果、出血多量で子宮を取らざるを得なかった人が子宮を取らなくて済むのです。
医療者側のメリットも大きいです。
- 出血が少ないため、通常の帝王切開後管理ができる(シース抜去までは通常とはことなりますが、ほとんどが通常管理)
- 早期離床・早期母乳育児支援ができる
この手術はどこの病院でもできるわけではありません。
こんな画期的なハイブリッド手術が全国展開するには
それぞれの病院が越えなければいけない壁がいくつもあるかと思います。
しかし、患者側も医療者側も得られるメリットが大きいのであれば、
カテーテル治療が可能な病院が増えるといいなと思います。