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CASE35−2 落ち込みと焦り

病院選びの基準は安易にも家から近いということでした。

 

若かったということもあったと思うのですが、

 

初めてのIVFで受精卵のグレート5AAが2個もできました。

 

スクリーニングテストもして、

 

アブノーマルではない、

 

状態の良い受精卵でした。

 

「じゃあ、あとはこれを体に戻すだけ。」

 

となったので、

 

そこから3年ほど凍結しました。

 

その時にすぐに卵たちを戻さなかった理由は、

 

やはり夫は忙しく、

 

子どもは欲しくないし、

 

子どもに構っていられないという気持ちが変わらなかったからです。

 

でも、

 

私も5AAの受精卵が2個も凍結できたことで、

 

「まぁ、いいや。

 

子どもが欲しくなったら戻せばいいだけだから。」

 

と安心しました。

 

欲しくなって受精卵を体に戻せば、

 

すぐに子どもができると思っていました。

 

そして、

 

3年後にその受精卵を体に戻しました。

 

すると、

 

グレードが5AAだったにもかかわらず、

 

2個とも着床しませんでした。

 

その時、

 

初めて落ち込みました。

 

周りの子は不妊治療もせずに、

 

自然に妊娠しているのに、

 

どうして私ばっかり、

 

こんなに注射をして辛い思いをしなきゃいけないんだろうと思いました。

 

今まではグレードの良い受精卵があるという安心感を持っていましたが、

 

そのバックアップが無くなったことで、

 

どうしようという焦りが出始めました。

 

その時、

 

すでに34歳でした。

 

 

研究でも35歳から卵子の質も、

 

着床率も下がると言われているので、

 

どんどん自分が追い込まれていく感覚でした。

 

これは本当に真剣に取り組まないといけないと思い直しました。

 

夫も悲しんでいるのがなんとなく分かりました。

 

おそらく彼も傷ついたんだと思います。

 

ようやく子どもを迎える心の準備ができてきたようでした。

 

そこで、

 

クリニックを変えようと話をし、

 

いろいろ探し始めました。

 

ネットでも検索して、

 

周りの人にも聞きました。

 

すると案外、

 

思っていたより多くの人がIVFをやっていて、

 

UCSF(The University of California, San Francisco)の評判が良いということが分かりました。

 

全米の中でも3本の指に入るくらいの評価でした。

 

全米で一番良いとされているところは

 

カリフォルニアでもニューヨークでもない、

 

別の州だったし、

 

そうすると莫大な費用がかかるので、

 

それは現実的ではないと考え、

 

UCSFだったらサンフランシスコの夫の家からも通えるということで選びました。