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CASE37−6 帝王切開について何も知らない

病院に着くとERに行き、

 

産科病棟へ案内されました。

 

その頃には

 

生理痛のような痛みが出始めていて、

 

スタスタ歩くことはできなくなっていました。

 

朝の6時位だったと思います。

 

ナースステーションには沢山の看護師さんがいて、

 

みんなが一斉にこちらを見ました。

 

そのうちの一人がとても怪訝そうな顔でこちらを見ていました。

 

生理痛のような痛みで、

 

ナースステーションのカウンターに突っ伏した私に

 

「何をしに来たの?」

 

と声をかけてきました。

 

私は妊娠糖尿病にも関わらず、

 

お腹の赤ちゃんはアメリカの標準よりも小さく推移していたので、

 

私が産婦に見えなかったんだそうです。

 

私が出産しに来たということを知ると、

 

「あなた妊婦だったのね〜。

 

お腹が小さかったから分からなかったわ。

 

頑張ってね!」

 

と言いながら、

 

個室に案内してくれました。

 

そこで破水の検査をし、

 

破水が確定しました。

 

その場で、

 

医師から

 

「破水しているので、

 

本日中に帝王切開をします。」

 

と言われたのです。

 

道中で

 

帝王切開かもと頭をよぎっていたものの、

 

実際に宣言されると、

 

認めたくない気持ちもあり、

 

検査台の上で、

 

自分の足が自分で保てないくらいガクガクと震えるのが分かりました。

 

人間って本当にこんな風になるんだと思いました。

 

その時は赤ちゃんの心配というより

 

自分のことだけを考えていました。

 

今まで大きな病気をしたこともなかったので、

 

今日、

 

手術をするんだという恐怖と、

 

手術が怖い・不安という気持ちがありました。

 

母親としての実感もあまりなかったような気がしています。

 

医師が

 

「逆子で破水をしているから帝王切開になるけれど、

 

命に危険があるわけじゃないから、

 

そこまで心配しなくていいよ。」

 

と言ってもらったことで、

 

少し落ち着きました。

 

私自身、

 

その時点で帝王切開について何も知りませんでした。

 

経腟分娩で出産すると思っていたし、

 

無痛分娩や呼吸法や姿勢についてばかり調べていました。

 

もちろん、

 

そちらを学んだ上で、

 

余裕があったら、

 

帝王切開について調べようと思っていました。

 

自分が帝王切開になると思っていなかったので、

 

そこまで手が回らなかったのは事実です。