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CASE37−8 神に祈った

麻酔科医の先生は

 

「ここをこうやるからね。」と、

 

とても丁寧に説明してくれました。

 

背中に麻酔を入れるのが痛いということを

 

インターネットで見ていたので、

 

怖いなと思っていましたが、

 

言われたとおりに姿勢をとっていると、

 

私は何も痛みを感じませんでした。

 

スタッフの人も麻酔を入れている時に

 

「You’re great!」

 

などと何度も褒めてくれるので、

 

「これで合っているんだ。」

 

と思うことができました。

 

その後、

 

夫が呼ばれ、

 

私の枕元に座ってくれていました。

 

夫がどんな様子かは私には見る余裕はありませんでしたが、

 

夫が側にいるという安心感がありました。

 

夫は普段は神に祈るということをしないそうなのですが、

 

廊下で私の手術前準備が終わるのを待っている時に、

 

初めて私と子どもの無事を神に祈ったと言っていました。

 

 

そこからは周りの様子はあんまり覚えていません。

 

麻酔は入っているものの、

 

胸から上は麻酔がかかっていないので、

 

意識もあるのですが、

 

体がこわばっているのか、

 

動かせるはずの両手も動かすことができませんでした。

 

緊張して、

 

鼓動が速かった気がします。

 

緊急手術だと

 

どの医師が執刀するか分からないことになっているのですが、

 

私はラッキーなことに、

 

主治医ではないですが

 

担当チームの医師の一人でした。

 

その人とは健診でも2度会っており、

 

顔見知りだったのでとても安心できました。

 

しかも3日前にNST検査の時にもお会いした医師で、

 

「あれ?

 

3日前にも会ったよね?

 

もう来ちゃったの?」

 

とラフな感じで迎えてくれました。

 

私はとても緊張していましたが、

 

麻酔科医も常に

 

「大丈夫だよ。

 

今は〇〇だからね。」

 

と実況中継のように声をかけてくれていて、

 

とても安心できました。