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CASE39−16 人生でこんなに応援されたことない

その男性医師が部屋から出ていき、

 

女性医師と看護師と夫と私で、

 

いきみ始めました。

 

それまでのいきみは

 

「ジャパニーズプッシュ」

 

だったと夫は言っていました。

 

陰部が切れないように、

 

痔にならないように、

 

といろいろと温存するようないきみだったようです。

 

けれど男性医師が出ていってからは、

 

もうこれがラストチャンスだという雰囲気になり、

 

「髪の毛出てきた!」

 

と教えてくれたり、

 

いきむタイミングで女性医師も

 

「ここ、ここ、ここ!

 

ここですよー!」

 

と力を集中する場所を押して教えてくれ、

 

夫も

 

「頑張れ!

 

いまだ、きたぞ!

 

いいぞいいぞ!

 

君ならできる!」

 

とみんな必死でした。

 

3時間くらい、

 

絶え間なく声をかけてくれて勇気をくれました。

 

陣痛が来ていない時に、

 

「なんか良いですね、

 

応援されていて、

 

とても気持ちがいいです。

 

人生でこんなに応援されたことがないから、

 

めちゃくちゃ嬉しくなってきちゃった。」

 

と伝えました。

 

 

そうこうしていると、

 

さきほどの男性医師がやってきて、

 

「開いてきてるようだね。

 

じゃあ、

 

もう帝王切開の可能性はなくなったね。」

 

と言われ、

 

一安心しながら、

 

そのままアメリカンプッシュでいきみを続けました。

 

ありったけの力でいきみました。

 

そして、

 

3時間いきみ続けた後に赤ちゃんは産まれてきてくれました。

 

娘は、

 

誰に教わった訳でもないのに、

 

お腹の中で心臓や脳など重要な体のパーツを成長させて、

 

出産に向けて一生懸命呼吸の練習をしたり、

 

いい位置に移動したりして

 

お腹の中で外界で生きていけるように準備をしてきていたので、

 

まだ会った事はないけれど、

 

お互い命懸けで出産に向けて頑張った者同士でした。

 

看護師、

 

医師、

 

夫には

 

「You did it!!!」

 

と何度も何度も言ってもらえて嬉しかったのですが、

 

寝不足と疲労で放心状態、

 

それと同時に私は高血圧になってしまいました。

 

 

高血圧になった影響か、

 

リカバリールームでも

 

目がチカチカしたり視界が真っ黒になって気を失って倒れました。

 

回復した今振り返ると、

 

長い分娩時間になってしまいましたが、

 

その間諦めずに頑張って出てきた娘の事を誇りに思います。

 

産後も高血圧が続いていて疲労困憊であまり頭が働いていませんでしたが、

 

夫に美味しいとこどりされたくないという思いがあって

 

フェミニスト的な意味も込めて

 

へその緒を切る希望があったので、

 

そこは私が切らせてもらいました。

 

本当はへその緒の拍動が止まってから切りたい

 

という希望もかいてあったのですが、

 

男性医師からそれを待っていたらリスクがどうのという話が始まったので、

 

「じゃあ、スタンダードな感じで切るで良いです。」

 

と言って切らせてもらいました。

 

普段は出血や手術のシーンをテレビで見ることもできないのですが、

 

気持ち悪いとか怖いという感情はなかったです。

 

元々希望はしていませんでしたが、

 

「見とく?」

 

と聞かれたので胎盤も見させてもらいました。

 

私も娘も、おつかれさまでした

 

と心の中で言いました。