帝王切開の傷跡、
皆さんはどうなっていますか?
傷がどこにあるかわからないという人もいれば、
赤く盛り上がっている人もいるでしょう。
はたまた、盛り上がりが広がっている人もいると思います。
傷口に沿って赤く盛り上がっている場合は肥厚性瘢痕、
その盛り上がりが広がっている場合はケロイドと言います。
左:典型的な肥厚性瘢痕、中央:中程度病変、右:典型的なケロイド、【ケロイド、肥厚性瘢痕の予防と治療】より
人によって傷跡が違う原因としては、
大きな理由の一つとして体質があります。
特に日本人の10%はケロイド体質と言われています。
ですので、傷のケアをしていてもケロイドになってしまう人もいるのです。
決して、あなた自身のケアが不十分だったからではないのです。
体質以外では、
傷の部分が刺激を受けたり、
引っ張られたりすると生じやすいと言われています。
傷が治る時って痒いですよね。
私は痒くって痒くって、
無意識で掻いていました。
すると、それまで一本の線だった傷が、
数日でみるみる赤く盛り上がってしまったのです。
この痒みがあるときもなるべく「掻かない」ということが重要です。
そこで、使われているのが創傷保護テープ/ケロイド予防テープです。
痒みは傷みと同じくらい耐え難いものだと言われています。
無意識的に掻いてしまうのも致し方ない。
ですので、、創傷保護テープで皮膚を補強し、
傷にかかる力を弱めることが大切です。
「創傷保護テープ」「手術後 傷 テープ」
と検索してみてください。
いろんな会社がいろんな製品を出しています。
そのどれを使っていただいても効果に大きな差はないと思って良いと思います。
使いやすさ・着け心地で決めてください。
私が使用したテープはHP内でも紹介していますので、
ぜひ御覧ください。(使用感は個人の感想です。)
さらに傷口を動かさないことも重要と言われるのですが、
だからといって、ずーっと腹帯を付ける必要はありません。
通常の日常生活や、腹筋運動もして構いません。
半年くらいはお腹の皮膚を引き伸ばすようなストレッチは
軽めに行う程度にしたり
激しい運動は控えた方が良いかも知れませんね。
痒みや傷みに対しては抗アレルギー薬の内服薬もあります。
しかし、これは痒みの改善には役立ち、
病変部を沈静化させると考えられていますが、
他の治療と併用することになるかと思います。
軟膏を塗布する方法もあります。
炎症を鎮める効果があるステロイドテープを貼ることもあります。
ステロイドテープで改善が見られない場合は、
ステロイド注射もあります。
広範囲に広がり、美容面で不都合が生じる場合は、
手術して病変を切り取ることもできます。
術後は傷に放射線を当て、炎症の原因となる血管の増殖を抑えたり、
手術後の傷の縫い方も再発を予防するように縫合するようです。
見た目の問題だけでなく、
痛みや痒みを伴うならこれらは保険適応で治療できます。
最近は、レーザー治療もあるようですが、
現時点は保険適応外なようです。
予防方法は?
・一ヶ月健診後からケロイド予防テープ(メーカーにより推奨時期が異なりますが、一ヶ月健診以降の方が傷のトラブルは少ないかと思います。)
・傷部分を掻かない
・傷部分を伸ばさない
治療方法は?
・抗アレルギー薬の内服
・軟膏
・ステロイドテープ
・ステロイド注射
・手術
・放射線治療
・レーザー治療
受診する科は?
産婦人科?皮膚科?
→形成外科が専門科になります。
受診する時期は?
一ヶ月健診を終えるくらいまでは、
通常は肥厚性瘢痕にはなりません。
初めての帝王切開の方は創傷保護テープを貼っていても、
傷が盛り上がってきたり、
テープを貼らなくなったら傷が盛り上がってきたという段階で
受診されると良いと思います。
今までの傷がケロイドになったことがある方や
2回目以降の帝王切開の方で、前回ケロイドになったという方は、
妊娠中に受診して、
産後どれくらいで受診したら良いのかを確認するのが良いでしょう。
形成外科の医師に「産後二週間後に受診してね。」と言われた方に出会ったこともあります。
傷に対する思いもひとそれぞれ。
「赤ちゃんを無事に産めたのだから、気にしちゃだめなのかな?」
とおっしゃる方もいます。
人がなんと言おうと自分の体なんだから気になるのは当たり前。
もし自身が小さなことでも不安を抱いていたり、
気になったりするようなら、
一度、お近くの形成外科を受診することをお勧めします。
今日もお母さん達が笑顔で過ごせますように。